「成年後見制度」とは、認知症や精神障害等によって、判断能力(事理弁識能力)が低下して、財産管理などを適切に行うことができなくなった人の代わりに、第三者である「成年後見人」が財産管理などを行う制度です。
成年後見制度は、被後見人の財産や利益を保護するための制度ですが、メリットもデメリットも存在します。以下では、成年後見制度のメリット・デメリットについて紹介していきます。
■成年後見制度のメリット
●成年後見人が財産の処分・管理を行うことができる
まず、第一のメリットとして、後見人が、被後見人の財産を処分・管理できることが挙げられます。被後見人は判断能力が低下しており、財産を適切に処分・管理することができなくなっています。しかし、あくまで財産の権利は被後見人にあるため、親族であっても勝手に財産を処分することはできません。もっとも、成年後見制度を利用することで、成年後見人が代理として処分・管理することができるようになるため、例えば土地や財産の売却、介護施設との契約などを行うことができるようになります。
●契約を取り消すことができる
被後見人は判断能力が低下しているため、不必要な契約や、悪質な契約を結んでしまう可能性があります。もっとも、被後見人がした法律行為は、取り消すことができます。また、保佐や補助の場合は、保佐人や補助人の同意を得なければいけない行為であって、同意を得ていない場合は、その法律行為は取り消すことができます。よって、被後見人の利益を保護することができます。
●財産の使い込みを防げる
成年後見人が被後見人の財産の管理をするため、親族や同居人による預貯金等の使い込みを防ぐことができます。
■成年後見制度のデメリット
●申立てに手間と費用がかかる
成年後見制度を利用する場合は、裁判所に後見開始の申し立てをし、審判を受ける必要があります。また、その際に、収入印紙等の手数料にくわえ、鑑定が必要な場合は5~10万円程度の鑑定費用もかかります(鑑定が不要な場合は申立費用は2万程度)。そして、成年後見人が専門職の者である場合、報酬費用も毎年発生します。
●不必要な出費、積極的な資産運用等ができなくなる
成年後見人は、あくまで被後見人の保護を目的として財産を管理するため、例えば孫へ面会に来るのにかかった交通費・宿泊費を渡せなかったり、不動産投資や株式投資、相続税対策ができなくなってしまいます。
●成年後見人の取り下げが難しい
いったん成年後見人が選任されると、「気が変わった」等の理由では解任することができないため、注意が必要です。
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成年後見制度のメリット・デメリット
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