殺人罪とは、いわずもがな、人を殺害する罪をいいます(刑法199条)。殺人罪の罪に問われた場合、死刑又は無期もしくは5年以上の懲役に処されることになります。この量刑(刑の重さ)からも分かるように、保護法益の中でも最も重要とされている人の生命を侵害する以上、殺人罪を犯した者には特に厳しい刑罰が科されることになります。
もっとも、殺人罪が成立するためには、人を殺害する際に、人を殺そうという意思(殺意)がなければなりません。そのため、自らの過失により人を殺めてしまった場合には、殺人罪ではなく過失致死罪(刑法210条)が成立します。また、殺意はなく、人に暴力を振るうという意思で過度に暴行を加えた結果、人を死なせてしまった場合には、殺人罪ではなく、傷害致死罪(205条)が成立します。
一方、たとえ殺意を持って、ある者の心臓部にナイフを突き刺しても、その者が別の原因ですでに死亡していたのであれば、殺人罪ではなく、死体損壊罪(刑法190条)が成立するにすぎません。
このように、人の死亡結果が生じたとしても、加害者の意思や状況によって殺人罪以外の犯罪が成立する可能性があります。これらの違いは些細なようにも思えますが、加害者の量刑を争う際には、大きな違いが出てきます。例えば、過失致死罪を犯した場合、加害者には50万円以下の罰金が科されるだけです。
そのため、殺害方法や加害者の意思が明らかな場合は問題とはなりませんが、被害状況や現場の状況などを加味しても、どのような罪に認定したら良いか熟練の裁判官であっても難しい場合があります。
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殺人罪
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