近年、痴漢冤罪事件が社会問題となっていますが、法律上、「痴漢罪」という罪名はありません。痴漢で逮捕される根拠となる法令は2つあり、一つは各都道府県が定める迷惑防止条例、もう一つは刑法が定める強制わいせつ罪(刑法176条)です。
両者は、まず量刑(刑の重さ)に違いがあります。
迷惑防止条例違反の場合、各都道府県で若干内容が異なりますが、多くの県では「1か月以上6か月以下の懲役または1万円以上50万円以下の罰金」としています。
一方、強制わいせつ罪の罪に問われた場合、6ヶ月以上10年以下の懲役が科されます。このように、強制わいせつ罪の方が、重い刑罰を定めています。
また、両罪の成立条件に明確な基準があるわけではありませんが、以下のような違いがあります。
迷惑防止条例では、処罰の対象となる痴漢行為について、「正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって」「公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること」(東京都迷惑防止条例5条1項1号)と規定しています。
一方、強制わいせつ罪は、「暴行又は脅迫を用いて」という手段が限定されており、その程度は被害者の反抗を著しく困難にするものと考えられています。
そのため、例えば、満員電車中で電車の揺れに合わせて胸やおしりを触るという痴漢行為の場合であれば、迷惑防止条例違反となるでしょう。
山崎夏彦法律事務所は、ハードルが低く、気軽に相談できる、身近な法律事務所として、小田原市を中心に、湯河原町、南足柄市、平塚市など神奈川県・静岡県の法律相談を承ります。
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痴漢・わいせつ
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