離婚の際、お金に関して問題となってくることに住宅ローンがあげられます。住宅ローンの支払期間は30年以上に及ぶこともあるので、離婚するときにはまだローンが残っているケースが多いはずです。残った住宅ローンを誰が払っていくのか,不動産は誰の名義にするのか,保証人の問題はどうするかなど,取り決めておくべきことが多いです。価値の大きい財産であるいっぽう,取得後のローンの負担は長期にわたることが多いため,離婚の際には慎重に取り決めをしておくことが大切です。
・アンダーローン(住宅の価値>ローン残高)の場合
離婚の際に不動産を売却する場合、売却代金で残りのローンを完済できるようであれば、大きな問題にはなりません。不動産を売却してローンを完済しても、生じた利益は、夫婦で折半されます。
また、自宅を売却せず、どちらが住み続けることも考えられます。この場合、本来は住宅の価値は夫婦が半分ずつ取得できるはずであるので、住み続ける方がそうでない方に「(住宅の価値-ローン残高)÷2」分の金額を支払わなければなりません。例えば、自宅を売却すれば2000万で売れるのに対し、ローン残高が1400万の場合、住み続ける方がそうでない方に300万分を支払うということです。
・オーバーローン(住宅の価値<ローン残高)
住宅ローンにおいて問題となるのは、売却価格よりもローン残高が上回る、いわゆる「オーバーローン」のケースです。この場合には,残ったローンの支払をどうするのかという点を検討する必要があります。
様々なケースが考えられますが、現実、最も多いパターンは、不動産名義も住宅ローン名義も夫のままで妻が住み続けるパターンです。ただし、この場合,夫にとってはもう住んでいない家のローンであることから,夫がローンを返済しなくなるという非常に大きなリスクもあります。最悪の場合、差押えから競売となり、結局は自宅を手放すことにもなりかねません。
このように、住宅ローンの支払いに関して、夫婦間でしっかりと決めたことでも、必ず守られるという保証はありません。そのような場合になっても、「公正証書」に住宅ローンに関して協議したことを明記しておくことで、訴えを提起することなく、相手方の給与、その他財産に強制執行をかけて支払いを履行することが出来ます。住宅ローンの取り決めをする際は公正証書を作成することをおすすめします。
山崎夏彦法律事務所では、小田原市・湯河原市・南足柄市・平塚市を中心とする神奈川県及び静岡県において、離婚・相続・交通事故・不動産トラブル等のご相談を承っております。離婚に際して、住宅ローンの問題はトラブルになりやすい上、事情が複雑です。お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
住宅ローン
山崎夏彦法律事務所が提供する基礎知識
-
別居中の浮気は慰謝料請...
■ 浮気の慰謝料請求について 慰謝料とは、離婚や浮気などによって精神的苦痛を被った者に対して支払われる...
-
物損事故
交通事故の種類を大きく分けると、「物損事故」と「人身事故」で分けることができ、事故当事者の中に怪我人が...
-
協議離婚
■協議離婚とは 協議離婚とは、話し合いにより離婚に必要な条件を決定する方法です。日本では離婚全体の9割...
-
追突事故の過失割合
追突事故の過失割合は、基本的に【追突された側0:追突した側10】となります。 もっとも、追突された側で...
-
境界に関する紛争
登記簿に登録された地番と地番の境目を「公法上の境界」と呼び、隣接する土地の所有権との境目を「私法上の...
-
不動産売買契約
土地や建物をめぐる売買取引は契約によって行われます。契約は口頭でもお互いの意思が一致していれば成立し...
-
相続放棄と代襲相続の関...
相続とは、お亡くなりになった方が生前有していた権利義務を相続人の方に承継することをいいます。 相...
-
法定相続人の範囲と相続...
■ 法定相続人について 法定相続人とは、民法で誰が相続人になれるかを定められており、これに該当する相続...
-
詐欺罪
詐欺罪とは、人を欺いて錯誤(「勘違い」のこと)に陥れ、財物または財産上の利益を処分させる罪をいいます(...