0465-21-3370
営業時間
平日:9:00~18:00

日照権とは?どのような場合に侵害が認められる?

  1. 山崎夏彦法律事務所 >
  2. 不動産トラブルに関する記事一覧 >
  3. 日照権とは?どのような場合に侵害が認められる?

日照権とは?どのような場合に侵害が認められる?

日照権とは建物の日当たりを確保する権利を指します。ただし、日照権に関しては法律で定められている権利ではないため、その保護のために建築基準法等で規制がなされています。

◆日照権には射線制限と日影規制の二つがある
●射線制限とは
射線制限とは、建物と建物の間に空間を確保することで、道路や隣地の日照・採光・通風を妨げないために、建築物の高さを制限することをいいます。

この射線制限もさらに「道路射線制限」「隣地射線制限」「北側斜線制限」の3種類に分別することができます。

・道路射線制限
接している道路の幅に基づいて、道路を挟んだ反対側の建物の日照権を確保するための制限をいいます。具体的には道路の反対側の境界線から上空に向かって一定の勾配を引いた斜線よりも下に建物を建てなければならないという制限です。

・隣地射線制限
隣地に面した建物部分の高さが20mもしくは31mを超える部分についての制限を指します。マンションやオフィスビルのような高さのある建物が建設される場合に制限を受けます。第一種および第二種低層住居専用地域、田園住居地域では、もともと建築することのできる建物の高さが10mまたは12mと制限をされているため、隣地射線制限は適用されません。

・北側斜線制限
北側隣地の採光や通風を確保するための制限です。北側の隣地の境界線もしくは北側に道路があるような場合に、その道路の反対側の道路と敷地の境界線から計測を行います。

●日影規制
中高層程度の建物を建築する際に、隣接する地域の日照権を確保するために1年でもっとも日が短い冬至の日を基準として、日陰を一定時間以上生じさせないと定めた制限となります。
これは建築がされる場所の用途地域と高さによって定められます。

◆どのような場合に日照権侵害が認められるか
建築基準法は、日照権侵害となる建築基準を定めているのみであり、実際に侵害された場合には、民法709条の不法行為により損害賠償請求を行います。

しかしながら、建築基準法を守って建設がされた建物に関しては、違法すなわち不法行為の名前にもある「不法」の状態とは言えないのではないかと思われます。

もっとも、適切な行為であっても継続的に続くことで、違法な侵害と同様の深刻な被害をもたらすことも考えられます。
そこで、「受任限度」という概念があります。適法な行為であればある程度その行為に対して我慢、受任をする必要がありますが、一定の限度を超えたものに対しては、違法として取り扱うという考え方です。

受任限度の判断基準としては以下のようなものがあります。
①被害の程度(遮光の程度や時間など)
②住んでいたのは原告と被告のいずれが先か
③隣地の建物は遮光に対して何か配慮がされているか
④隣地の建物は建築基準法の制限を満たしているか
⑤問題になっている用途地域は何か

日照権侵害の受任限度に関しては、固定された基準や数値などがあるわけではなく、ケースバイケースとなっているのでご注意ください。

山﨑夏彦法律事務所では、小田原出身の弁護士が、小田原市内の離婚問題、遺産相続、交通事故、不動産トラブル、刑事事件という多岐にわたる法律問題を取り扱っております。
お近くの建築物が日照権侵害にあたるのではないかと思われる方は、一度弁護士にご相談ください。真摯に対応させていただきます。

山崎夏彦法律事務所が提供する基礎知識

  • 審判離婚

    審判離婚

    ■審判離婚とは 審判離婚とは、離婚調停後に家庭裁判所に出された「審判」によって離婚することを指します。...

  • 痴漢で逮捕されたらどうなる?示談をする方法も併せて解説

    痴漢で逮捕されたらどう...

    痴漢で逮捕された場合、警察署に連行され、取り調べを受けることになります。最大48時間の身体拘束がなされ...

  • 離婚後の氏と戸籍

    離婚後の氏と戸籍

    子どもの戸籍は結婚して新たな戸籍を作るまで、親の戸籍に入っています。親が離婚した場合、基本的には戸籍筆...

  • 連絡が取れない・連絡を無視する相続人がいる場合の対処法

    連絡が取れない・連絡を...

    相続手続きを進める上で、相続人全員の協力が不可欠です。 しかし、連絡が取れない相続人や、連絡を無...

  • 不動産売買の契約を解除するには

    不動産売買の契約を解除...

    ■ 不動産売買契約の解除について 不動産売買の契約を何らかの事情によって解除したい場合には、どのように...

  • 強制退去の手続きと流れ

    強制退去の手続きと流れ

    強制退去とは家賃を滞納している相手にその部屋の管理会社や大家さんが行使できる権利のひとつになります。し...

  • 浮気が原因による離婚をする場合の慰謝料計算方法

    浮気が原因による離婚を...

    ◆離婚慰謝料の計算式 離婚慰謝料は具体的に、離婚原因を作ったことに対する慰謝料と、離婚すること自体への...

  • 成年後見制度のメリット・デメリット

    成年後見制度のメリット...

    「成年後見制度」とは、認知症や精神障害等によって、判断能力(事理弁識能力)が低下して、財産管理などを適...

  • 養育費はいつまで支払う?

    養育費はいつまで支払う?

    養育費の支払いについては、離婚の際に父母の間で協議を行うことにより具体的な条件を定めることとなります。...

よく検索されるキーワード

ページトップへ