遺産の使い込みがあった場合、一定期間内であれば取り戻すことが出来ます。
■相続した財産の管理
相続した財産は、共同相続人間の「共有」(民法249条)になります。
共有状態になった財産は、他の共有者の同意がなければ、売却や処分といった「変更」をすることが出来ません(民法251条)
また、共有状態にある財産の利用や改良をする「管理」にも、過半数の同意が必要です。(民法252条)
このように共有状態になった財産は、自己の財産のように自由に使うことはできません。
例えば、相続人は、遺産分割をするまでの間は、相続開始時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払を求めることはできません。
このようにすることで、遺産分割時に金銭を利益調整に使うことができるというメリットもあります。
■金銭債権
ただし、銀行に預けた預金などの金銭債権は、民法427条が適用され、共有状態にならず、当然に分割されます。各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継することになります。
したがって、相続人が他の共同相続人の権利を行使した場合、他の共同相続人の財産に対する侵害になります。他の共同相続人の分まで預金を引き出してしまった場合などがこれにあたります。
■使い込みへの対処
自分の相続した財産への侵害を受けた共同相続人は、その侵害をした共同相続人に対して2つの方法で対処することができます。
①不法行為に基づく損害賠償請求(709条)
②不当利得返還請求(703条)
山崎夏彦法律事務所は、小田原市、湯河原町、南足柄市、平塚市を中心に、神奈川県、静岡県などで相続に関する問題の法律相談を承っております。
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遺産の使い込み
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